今回は、私物を紹介する前に長い前置きがあります。
昨日、六本木にある国立新美術館で開催されている、ミュシャ展へ行ってきました。
こちらは購入した図録です。アルフォンス・ミュシャは、学生時代から大好きで、
アールヌーヴォーの宝石のようなその美しさに魅せられていたのですが、
実は彼については、ほとんど知りませんでした。
彼は、実はチェコの人で、フランスで大変苦労し、雑誌の挿絵等を描いて生活をしていたわけなのですが、
時の大女優、サラ・ベルナールのポスターを作る仕事を受け、
その作品が大絶賛され、成功への道へと向かうのです。そして、素晴らしい数々の作品を
世に出した後、50才で最後に取り掛かった仕事は、故郷の悲惨な独立までの姿を絵に残すという、
スラヴ叙事詩でした。
まるで壁画のように巨大な20枚の絵。それが、今回全て展示されていたのです。
そのほとんどが、悲惨な状況下で人々が集い、討論する場、そして死体の山。
しかし、最後に独立を勝ち取った栄光の作品は、写真撮影が可能でした。
スラヴ菩提樹の下でおこなわれる、オムラジナ会の誓い
スラヴ民族の賛歌
50才を境目に、本当にやりたかった事を実行する。610×810cmを最大に20枚の記録。
どれほどのパワーが必要だったか。アーティストの生みのパワーは、
凄まじいエネルギーと言われるけれど、この大きさは尋常ではありません。
この20枚の後に見た、沢山のアールヌーヴォーの宝石の様な作品が、今までより
深い物に見えたのは間違いありません。
心ゆくまで作品を見て、更に図録とお土産も買い、
美術館の3階にある、フレンチ・レストランで、ミュシャのイメージの料理を
特別に出してくれていたので、そこでディナーを頂きました。
チェコのワインも用意されていました。料理は、4っつの花をイメージした
女性の絵にちなんだもので、先ずはカーネーション。
これは、ロブスターのオーロラソースと、スカロップの前菜。
次に、百合のイメージの魚料理だったのですが、
あまりに美味しく、食べることで頭がいっぱいで、写真を撮り忘れて(^^;)
次の薔薇に行きます。これは、牛ほほ肉の煮込み。
ここまでは、スパークリング、白、赤と、お勧めのグラスワインをセットで。
そして、デザートのアイリス。ここで、チェコのワイン。
料理もアートだと、実感しました。いつも、そうだとは思っていたのですが、
ミュシャを見た余韻を、料理で味わう事ができるとは、
なんと粋な計らい。しかも、ミュシャ展を見たチケットを見せると、お会計が10%引きなんです!
ここは、壁が全面ガラスで、夜景も見え、素敵な場所だと再確認しました。
で、最後に、私物紹介です。これは、私の宝物。ミュシャのシリアルナンバー入り
リトグラフで、『ブロンド』です。
私が愛して止まないミュシャ。彼のイメージで、ガラス作品をデザインしようと、
考えました。アーティストとは、いかなる状況においても、どんなに辛いときも、作品を作り続けること。
全てのエネルギーを、創作する事に向ける事。そして、その人生で見た、
沢山の思いを、作品として残す事。私も、私の作品を作る一生でいられれば、どんなに素晴らしいかと思いました。