長年ガラスを学び、制作に励んだ『彩グラススタジオ』がクローズになりました。
ガラスを巻くことから学び、ヴェネチアの技術まで、すべてを教えてくれた伊藤けんじさんと共に、私の中でガラス制作の財産として生き続けることになったのです。
最後は、アメリカのアーティストさんのワークショップで、さよならパーティーでした。
吹き竿にガラスが沢山巻けない。さらさらと流れ落ちて、沢山巻けない。何度も、何度も、練習しても巻けない。その時、ポットの前にお立ち台を置き、そこに乗るように言われました。けんじさんに、ガラスを巻くのをのぞいて見ろと言われたのです。あれが無ければ、最初は下玉さえ、満足にできませんでした。くるくるとスライドさせ、少し持ち上げ、流れ落ちるガラスを。上を向けながら巻きとる。
あの時、私は幸せでした。
この人に教えてもらえるのだと、喜びで一杯でした。けんじさんが下玉を巻くのを、のぞいた人は果たしているのでしょうか?俺が全部教えるからと、そういってくれた第一歩だったのです。
この、炉は、『フェニックス』という名前なのだと。不死鳥という名前の、燃え続けた炎にも、遂に最後が訪れたのでした。
ただ一心に、必死で学んだ工房よさようなら。でも、私は、まだまだガラスを続けます。新しく、いい工房が見つかりそうです。悲しみも、喜びも、これからも、ずっとガラスと共にありますように。