究極のガラス

究極のガラスとは、一言で言っても、多分意見は分かれるでしょう。

私の師匠のように、ガラスでこんな事ができるのかという、神の手の彫刻。

または、巨大なオブジェや、細かいパーツを集めた仕事。

 

私の究極は、ため息の出るような美しい作品です。

 

ここのところ、工房はポットが割れたり、展示ラッシュで製作に入れない日々が

続いています。師匠である、伊藤けんじさんの講座はとっている物の、私のクラスの講座生は、

カルチャースクールのような感じで、本格的なプロを目指している人は居なく、

ここ数年ぶっ飛ばし続けた私には、温度差のある物と化しています。

 

制作に入れない私は、自由制作の講座をとり、細々と作品を研究している感じです。

で、がんがん吹けない今、とにかく美しいガラスを研究しています。

短い時間で、講座でも制作できるのが『ダイクロ』です。ダイクロは、金属をガラスに吹き付けた物で、

玉虫のような光沢を持ちます。

 

これがダイクロのガラス材料と、制作した金箔入りソリッド。

 

なんだか講座を止めたくなり、昨日けんじさんに相談しました。

まあ、困らせるだけなのですが、もう、手も足も出なくて、鬱病になりかけていたのです。

ひとしきり話をしたら少しは落ち着きましたが、

誰にも言えずにもんもんとしていたので、話した後、なんだか涙がにじんできました。

制作できないアーティストは、フラストレーションのかたまりです。

 

まあ、秋になればグローリーのレンタルも余裕ができて、制作に入れるよと言ってもらって、

もちろん、講座を止めても時間の有るときは教えてくれると言われましたが、

様子見です。

 

で、あがってきたダイクロの新しい作品にクラックが入っていて、仕方無しに、加工して、

行きつけのロシアレストランへ行きました。

いつも、難ありのB品をあげに行くのです。ママのジーナさんが私の前にあげたソリッド『ペーパーウエイト』を

幾つか出してきて、ライトの上にのせてくれました。

写真にはうまく写らないのですが、こればびっくりするくらい美しく、ガラスは、見せ方だと

教えてもらいました。クラック入りのダイクロもこの通り。他の物も、自分の作品とは思えない美しさ。

 

 

今度、ここでガラスのイベントをやりたいという話になり、でも、ジーナさんの希望として、

ガラスのマトリョーシカを作って欲しいと言うことでした。小さなサイズの

ものを作り、上から大きな物をかぶせて、中にライトを入れるそうです。

やってみると約束しました。それと、ルームライトをソリッドで作る研究をしようと思います。

夏はアシストが軽井沢へ出払うので、ソリッドは一人でもできますし。

 

どんな状況でもできることはある。腐っていないでガンガン行きます。攻めることが最大の防御。

昔、ニューヨークのエンパイアステートビルから、見た自由の女神を思い出しました。

私はいつも自由。やりたいことはなんでもやるし、できる人間。

誰にも負けない美しいガラス作品を作ることでしか答えは出せない。けんじさんも、そんな私を応援してくれるはずです。